「リウマチ」は昔からよく耳にする病気です。けれども、原因はいまだ解明されていません。
日本の関節リウマチ患者数は70万人とも100万人とも言われ、毎年約1万5千人が発症しています。
激しい痛みがあり、進行すると関節の変形や破壊による障害も生じる疾病です。
近年、リウマチ治療の研究が進み、薬による治療法が発展し、治療目標は「寛解」を目指せるようになりました。
当院では、患者さんが日常生活、社会生活ともに自立し社会参加が可能となるよう、医師をはじめとする看護師、理学療法士、その他スタッフが共に病気に取り組んでいこうと考えています。
公益財団日本リウマチ財団登録の「リウマチケア看護師」の資格を持つ看護師が5人常勤し、治療のこと、精神的、経済的な問題など親身にご相談に応じます。
リウマチの治療においては、患者さん自身も発病の早い段階から、リウマチをよく知りよく理解して、根気よくリウマチとつきあっていくことが大切です。
めざましく研究の発展するリウマチ治療において、リウマチ専門医として先進の医療を提供できるよう、また、長い経験を基に、個々の患者さんに最も適した治療を施行できるよう、日々努力研鑽してまいります。
リウマチの診断は、症状や、血液検査やレントゲン等の検査値をもとに総合的に行われます。
関節リウマチ治療の基本は薬物療法です。
この20年の間に多くの抗リウマチ薬や治療法が開発されました。
薬物療法の中でも、2003年から国内発売が開始された生物学的製剤による治療により、病気の進行を完全に止めることが夢ではなくなり、関節リウマチの治療目標は「痛みを抑えることから、寛解導入へ」と高まりました。
寛解とは、病気の進行がほぼ消失し臨床的にコントロールされた状態を意味します。
生物学的製剤とは、関節リウマチの痛み、腫れ、軟骨などの破壊を引き起こす原因となる物質「サイトカイン」や作用を抑える薬剤です。
現在使用されている生物学的製剤は、レミケード(点滴)、アクテムラ、オレンシア(点滴と皮下注射)、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジア(皮下注射)の7種類です。
当院では約250名(H27.5現在)の患者さんが生物学的製剤による治療を行っております。薬剤により、投与方法、投与間隔、費用などが異なりますので、患者さんの症状に応じ医師が選択し、医師による管理の下、看護師が施行いたします。 当院別館の化学療法室では、半個室のプライベート空間にTV付電動リクライニングチェアを備え、リラックスして30分~2時間の点滴の時間を過ごしていただけます。
皮下注射は、自己注射が可能で、ご自宅で週に1回、又は2回注射し、月に1回通院していただくようになります。自己注射は、リウマチ財団認定のリウマチケア看護師が個別指導を行い、2回ほどでマスターすることができます。
「関節痛」には、リウマチなどの他の疾患により起こるものや、関節に負担をかける生活やスポーツなどを続けた事が原因で起こるもの、また、加齢によるものなどがあります。
その中でも「変形性関節症」は、最も多いとされています。
変形性関節症は、関節と軟骨周囲の組織が損傷することで痛みなどが出る慢性疾患で、 40代から50代に発症し、60代以上になると、程度の差はあれ、80%以上の方が症状が見られるといわれています。
全ての方がかかるわけではありませんが、年齢とともに筋力が弱くなり関節にかかる負担が大きくなることや、長年にわたり関節を使い続けて関節の軟骨がすり減ってきたことなどが関係していると考えられます。
変形性関節症の中でも特に、膝に起こる「変形性膝関節症」は最も多いとされています。
治療は、基本的に「薬物療法」「運動療法(リハビリテーション)」を組み合わせて行われますが、強い痛みがあり日常生活にかなりの支障をきたす場合は、「人工関節置換術」などの手術をご提案する場合もあります。
「人工関節置換術」とは、痛んだり変形した関節を、人工の関節と置き換える手術です。
当院では、週2回のペースで人工関節置換手術を行っています。
人工膝関節全置換術(TKR)は、損傷した膝関節を全部とりかえる手術です。
人工膝関節単顆置換術(UKA)は、あまり損傷が進んでいない場合、いたんだ部分だけをとりかえる手術で、入院期間もTKRに比べると短くてすみます。
近年の実績詳細
H22 | H23 | H24 | H25 | |
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人工膝関節全置換術(TKR) | 42 | 43 | 35 | 41 |
人工股関節全置換術(THR) | 5 | 7 | 12 | 5 |
人工膝関節単顆置換術(UKA) | 7 | 33 | 44 | 41 |
10年間の実績
人工膝関節全置換術(TKR) | 389 |
---|---|
人工股関節全置換術(THR) | 59 |
人工膝関節単顆置換術(UKA) | 125 |
人工肩関節全置換術(TSR) | 5 |
人工肘関節全置換術(TER) | 4 |
※平成16年5月~平成26年4月までの件数
全身の広い範囲にわたって痛みを感じる病気です。
首から肩、背中や腰部、臀部などの体幹部や太もも、膝、下肢などの痛みやしびれ、こわばり、さらに目の奥や口腔の痛み、頭痛などまで様々な痛みの症状があります。
痛みの箇所や強さには個人差があり、また、痛む箇所が移動したり、気候や過労、ストレスで痛みの度合いやレベルが変化することがあります。
関節リウマチに似た関節痛などの痛みを訴えることが多いですが、リウマチのような関節の腫れや変形はなく、一般の検査では目立った異常が見られないのが特徴です。
からだの痛みのほかに、以下の症状を伴う場合があります。
日本ではようやく名前が知られてきたところで、まだまだ認知度も低く、情報の得にくい病気です。
しかし、この病気の有病率は、米国の調査で女性3.4%、男性0.5%と女性に多く、人口の2%といわれており、日本でも同程度の頻度であるとの厚生労働省からの報告もあります。
けっしてまれな病気ではなく、はっきりとした自覚症状があるにも関わらず、診断がつかないまま放置され、病院を転々とするケースも少なくありません。
しかし、決して「詐病」や「怠け病」ではありません。命に関わる病気ではありませんが、痛みのために日常生活や社会生活に支障が出るほどになることもあります。
原因はいまだ不明で決定的な治療法や特効薬もなく、消炎鎮痛剤や抗うつ剤などの向精神薬、運動療法、心理療法などで治療しますが、重症化する前に、早めの受診をして対策することが必要です。
3ヶ月以上にわたり広範囲に痛みが続いたら、受診されることをお勧めいたします。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。
骨粗鬆症は圧倒的に女性に多く、60歳代では2人に1人、 70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症といわれています。これは、閉経による女性ホルモンの分泌低下が骨密度を低下させるためです。
このような体の変化に加え、遺伝的要因やダイエットなどによる栄養不良、運動不足といった生活習慣も骨粗鬆症の原因として考えられており、最近では、若い女性の発症も問題になっています。
治療には、主に薬物療法が用いられます。
田窪リウマチ・整形外科では、一般的に「整形外科領域」とされている症状も診察しております。
整形外科領域は多岐に渡ります。お気軽にご相談ください。
リハビリテーションとは、病気やけが、老化によって生じた何らかの症状に対して、できる限りもとの機能を回復し、残っている力を最大限引き延ばすために行うものです。
当院では、リウマチによる関節変形の予防や維持、筋力低下の防止を目的とした、日々の生活場面を想定したリハビリテーションと、外傷、疾患、オーバーワーク、加齢、慢性的なストレスによって起こる身体の痛みや各関節機能や可動域制限を和らげるリハビリテーションを、理学療法士が中心となり一人一人の患者さんのペースに合わせ、一対一で必要なプログラムを作成し進めていきます。
また、手術目的で入院される患者さんにおいては、手術前から積極的にリハビリテーションを行い、術後早期の治療プログラムはもとより、退院後も担当理学療法士が身体機能に応じた自立した生活を送ることができるよう、医療の側面からのみならず、介護を含めた総合的なバックアップも進めております。
田窪リウマチ・整形外科では、理学療法士によるリハビリテーション、および物理療法を行っています。
リハビリテーション室は2箇所あります。